パターン別 学生

学生ルート:親の扶養を確認しながら、学生のうちに事業を始める

ひとことで言うと

学生でも開業届は出せます。気にするのは、親の健康保険の扶養(19〜22歳は収入150万円未満)、親の税金の控除、自分の所得税の3つのライン。19〜22歳なら、親の控除は所得62万円をこえても85万円までは同じ額です。20歳になったら国民年金の手続きも忘れずに。

最終確認日:

ポンちゃん
学生のうちに始めると、失敗しても取り返しやすいのがいいところ!ただ、親の扶養に入っている人が多いから、まずは家族といっしょにラインを確認しよう。

学生ルートは5マス

  1. 13つのラインを知る親の健康保険、親の税金、自分の税金。ラインも数え方も別です。
  2. 21年の見込みを立てる売上と経費を記録して、どのラインに近いかを確かめます。
  3. 320歳になったら年金国民年金に入り、学生納付特例を申請するか決めます。
  4. 418歳未満は契約に注意仕事の契約やサービスの登録には、親の同意が必要です。
  5. 5開業届と申告学生でも開業届は出せます。続けるなら青色申告も。

1. 気にするラインは3つ

「扶養の範囲で」というときのラインは、次の3つです。何で数えるか(収入か所得か)と、超えるとだれのお金に響くかがそれぞれ違います。年齢でもラインが変わります。

収入=売上の合計。所得=売上から経費を引いた額(青色申告ならさらに控除を引いた額)。税金のラインの年齢は、その年の12月31日時点で判断します。

1

親の健康保険の扶養

収入 150万円未満

外れると:自分で健康保険の保険料を払う

19歳以上23歳未満のライン。それ以外の年齢は130万円未満です。これからの1年の見込みで判断します。

いちばん影響が大きい
2

親の税金(扶養控除・特定親族特別控除)

所得 85万円まで同じ

超えると:親の所得税が少しずつ増える

19歳以上23歳未満のライン。所得62万円をこえると扶養控除から特定親族特別控除に切り替わり、85万円までは同じ額。そこから段階的に減り、123万円をこえるとゼロ。

3

自分の所得税

所得 104万円以下

超えると:自分に所得税がかかる

基礎控除(令和8年分)の範囲なら、所得税はかかりません。住民税は所得税とラインが別なので、市区町村で確認を。

19〜22歳は、親の控除も「壁」ではなく「坂」

子の所得ごとの、親が受けられる控除額です(子が19歳以上23歳未満、令和8年分)。

19歳未満(16歳以上)の子は特定親族特別控除がなく、合計所得金額62万円以下なら扶養控除38万円、こえるとゼロです。控除額は親の所得税の計算に使うもので、親の税金がその分安くなるわけではありません。

カタカタ
18歳以下の人は、親の控除が所得62万円でいきなりゼロになるから要注意。19〜22歳ならなだらかだよ。

2. 1年の見込みを立てて、どのラインに近いか確かめる

毎月の売上と経費を記録して、年末までの見込みを立てておきましょう。たとえば20歳の学生で、売上150万円、経費40万円なら、こうなります。

白色申告青色申告(65万円控除)
所得青色は65万円の控除を引いたあと110万円45万円
親が受けられる控除親の所得税の計算で差し引く額21万円63万円
自分の所得税所得104万円以下ならかからない(ほかに所得がない場合)かかるかからない
親の健康保険の扶養健康保険によって数え方が違う売上で見る健康保険なら150万円 → 外れる(150万円未満ではない)
売上−経費で見る健康保険なら110万円 → 入れる
青色申告の控除は、差し引かない健康保険もある

同じ売上でも、健康保険の数え方しだいで結果が変わります。始める前に、親の勤め先の健康保険に「事業の収入はどう数えるか」を聞いてもらうのがいちばん確実です。

事業の収入の数え方は健康保険によって違います。親の勤め先の健康保険に確認してください。

学生には勤労学生控除もあります。学生で、自分で働いて得た所得(事業所得・給与所得など)があり、合計所得金額が89万円以下(令和8年分)、働いて得た所得以外が10万円以下なら、27万円を差し引ける。

事業所得も「自分で働いて得た所得」に入ります(所得税法第2条第1項第32号)。令和8年分は基礎控除だけで所得104万円まで所得税がかからないため、ほかに所得がなければ、所得税はこの控除がなくても0円です。住民税での扱いは市区町村で確認してください。

3. 20歳になったら国民年金

20歳になると、学生でも国民年金に入ります。保険料は月17,920円(令和8年度)、1年で215,040円です。払うのがむずかしい学生には、学生納付特例があります。

学生納付特例

20歳以上の学生は、本人の前年の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下なら、在学中の保険料の納付を後回しにできる(家族の所得は問わない)。

申請が必要で、毎年度手続きします。後回しにした保険料は10年以内なら追納でき、追納しないとその期間は将来の年金額に反映されません。

事業でしっかり稼いでいる人は、前年の所得によっては学生納付特例を使えないことがあります。その場合は、保険料を払いましょう。払った保険料は全額が社会保険料控除になり、所得から差し引けます。

4. 18歳未満の人は、契約に親の同意を

成年年齢は18歳(2022年4月から)。18歳未満の人が親の同意なしに結んだ契約は、原則として取り消せる(未成年者取消権)。

そのため、仕事の契約やネットのサービスへの登録で、親の同意を求められることがあります。仕事を受ける前や登録する前に、家族に相談しておきましょう。

18歳以上なら、親の同意なしに契約でき、取り消しもできなくなります。

5. 開業届と申告

学生でも開業届は出せます。続けて事業をするなら、開業届と青色申告承認申請書をいっしょに出しておくと、青色申告特別控除(最大65万円)を使えます。開業届の期限は事業を始めた年の確定申告期限まで、青色申告の申請は青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内)です。

効く親の税金(ライン2)と自分の所得税(ライン3)。控除を引いたあとの所得で判断するからです。

効かないことがある親の健康保険の扶養(ライン1)。青色申告の控除を収入から差し引かない健康保険もあるためです。

1年の所得の合計が、基礎控除などの所得控除の合計を超えて、所得税がかかる人は、翌年2月16日〜3月15日に確定申告をします。

源泉徴収された税金が戻る場合などは、必要がなくても申告できます。所得税の確定申告をしないときは、住民税の申告が必要か、お住まいの市区町村に確認を。帳簿と領収書は、申告しない年も残しておきます(帳簿は7年、領収書・請求書などの書類は5年)。

届出の出し方は「届け出る」マスへ →

学生ルートのチェックリスト

  • 親の健康保険・親の税金・自分の税金の3つのラインを家族と確認した
  • 親の勤め先の健康保険に、事業の収入の数え方を聞いてもらった
  • 毎月の売上と経費を記録して、1年の見込みを立てている
  • 20歳になったら、国民年金と学生納付特例の手続きをした
  • 18歳未満なら、契約や登録の前に親の同意をもらった
  • 続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出した
ポンちゃん
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